手術室見学実習の記録って困りますよね。
この記事では、手術室で挿入される管の名前と目的、記録方法について解説!
手術室で挿入される物の目的や記録方法
①静脈ルート(Vライン)
目的 | 麻酔薬の投与 その他薬剤の投与経路 |
挿入部位 | 前腕(利き手と反対側や健側を選択) ※透析シャントとは反対側にとる ※前腕が無理な場合は、下肢 |
サイズ | 第一選択は20G 血管サイズによって、22G等 |
記録方法 | 静脈ルート○○G、左前腕、輸液名 |
情報 | 出血が予測される場合は、麻酔導入後に追加で静脈ルートを確保する場合がある。 |
②挿管チューブ(気管チューブ)

目的 | 気道確保 吸入麻酔薬の投与経路 |
挿入部位 | 気管 |
サイズ | 女性:7.0mm(±0.5) 男性:8.0mm(±0.5) 気管のサイズに合わせて選択 |
挿入長 | 男性:22-23㎝(門歯) 女性:20-21㎝(門歯) |
記録方法 | 挿管中(Φ7.0mm 門歯21㎝固定) 挿管のまま帰室する場合のみ記録する |
情報 | 短時間手術などは、声門上器具(ラリンゲルマスク)などを使用する場合がある。 見学時に確認しましてみましょう! |
挿管チューブについては、コチラの記事でくわしく解説しています!
③Aライン(動脈ルート)
目的 | 持続的な血圧のモニタリング 動脈血採血 |
挿入部位 | 橈骨動脈 足背動脈 |
サイズ | 22G |
挿入長 | - |
記録方法 | 右橈骨動脈22G または 術後抜去。○○時(一時間後)に枕子の除去をお願います。 |
情報 | ・Aラインの点滴バッグは、加圧バッグで300mmHgに加圧して血液の逆流を防いでいます。 ・加圧バックの中の輸液は、ヘパリン入り生理食塩水。 ・術後Aラインを抜去した場合は、圧迫止血を行います。 →一時間後に病棟で圧迫を解除してもらうように依頼します。 |
③CV(中心静脈カテーテル)

目的 | 中心静脈圧の測定 カテコラミン投与 (末梢でのルート確保が困難な場合) |
挿入部位 | 主に右内経静脈 次いで左内経静脈 内経静脈からカテーテルを挿入し、上大静脈まで留置します。 ※右内経静脈は血管の走行が上大静脈まで直線的に下りるため第一選択となります。 |
サイズ | 15Gや20G、7.5Fr等 種類や目的によって異なる |
挿入長 | 右内経静脈から挿入した場合:13~15㎝ 左内経静脈から挿入した場合:15~17㎝ ※身長によって異なります。 |
記録方法 | CV15Gトリプルルーメン 右内径静脈 13㎝固定 P(プロキシマル:近位):それぞれ接続されている輸液等 M(メディアル:中間位):それぞれ接続されている輸液等 D(ディスタル:遠位):それぞれ接続されている輸液等 |
情報 | 挿入する管の種類 ・ダブルルーメンカテーテル(カテーテル内腔が2つ) ・トリプルルーメンカテーテル(カテーテル内腔が3つ) ・プリセップカテーテル(商品名) |
④膀胱留置カテーテル

目的 | 尿量測定 尿の性状の観察 (脱水や腎血流、溶血などの評価などを行う) |
挿入部位 | 膀胱 |
サイズ | 成人は、14~16Fr。 尿道口が細い場合などは、12Frを選択 |
挿入長 | - |
記録方法 | 膀胱留置カテーテル14Fr 固定水10ml |
情報 | 泌尿器科手術の場合など、固定水が10mlでないものもあります。 抜去時に、固定水を引く必要があるので、必ず申し送ります。 |
⑤ドレーン

目的 | ①情報ドレーン:術後出血や縫合不全の発見 ②予防的ドレーン:術後の血液・浸出液の排出 ③治療的ドレーン:膿瘍や浸出液の排出による感染や炎症の改善 |
挿入部位 | 術式による 右横隔膜下 肝臓切除 左横隔膜下 胃切除 脾臓切除 膵臓切除 ウィンスロー孔 肝臓切除 モリソン窩 右上腹部の手術 右傍結腸溝 右結腸切除 左傍結腸溝 左結腸切除 ダグラス窩 直腸切除 子宮全摘出など婦人科手術 皮下 大胸筋下ドレーン 乳房手術 腋窩ドレーン 乳房手術 胸腔ドレーン 肺切除 心臓手術 硬膜外ドレーン 慢性硬膜下血腫 頭部皮下ドレーン 開頭手術 |
サイズ | 使用材料によって異なる |
挿入長 | 留置長は、記載しない。 ドレーンについている目印で抜けがないかを確認する。 ※施設によって管理方法が異なる。 どのように管理しているかを質問しても良い!! |
記録方法 | ドレーンの種類と太さ、留置されている場所を記載 |
情報 | 胸腔ドレーンに関してはコチラの記事を参考にしてね! |
⑥胃管
目的 | 鼻から胃まで挿入するチューブ。 消化管の減圧や胃内容物の吸引・胃洗浄を目的に挿入される。 |
挿入部位 | 胃 |
サイズ | 12~16Fr |
挿入長 | 45~55㎝ ※身長による。 |
記録方法 | 胃管14Fr 左鼻腔 50㎝固定 |
情報 | 消化管手術などで挿入され、手術終了後も留置したまま帰室することがあります。 挿入したまま帰室する場合は、位置をレントゲンで確認します。 |
⑦硬膜外カテーテル

目的 | 硬膜外腔にカテーテルを留置し、持続的に麻酔薬を注入するための管です。 術後の鎮痛目的で留置されます。 |
挿入部位 | 硬膜外腔 【穿刺部位】 上腹部手術 Th7/8やTh8/9 下腹部手術 Th8/9~Th10/11 (第〇胸椎と第〇胸椎の間をこのように記録します) |
サイズ | - |
挿入長 | 硬膜外腔に4~6㎝留置されます。 皮膚から○○㎝固定とあわせて記載されることもあります。 |
記録方法 | Th8/9から挿入 皮膚から○○㎝固定 硬膜外麻酔開始時間 ○○時○○分開始 硬膜外麻酔薬の流量 ○○ml/時間 挿入時の出血の有無 なし 薬剤ボトルの内容 ・レボブピバカイン(ポプスカイン) ・ロピバカイン(アナペイン) ・フェンタニル(麻薬) ・デキサメタゾン(デカドロン)など |
情報 | ・退室時、麻酔科からの指示の流量と流量のメモリが一致してるか確認します! ・PCA機能(患者が自分で麻酔を投与できる機能)がついていることが多いです! 実習の際に見せてもらいましょう! |
手術室看護記録の例(シェーマ)

まとめ
手術室では、様々な管が挿入されます。
手術室見学でしか、挿入する様子を見られないものもたくさんあります!
挿入する目的を理解し、術後看護につなげてください!
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