【看護学生必見!】手術中に挿入される管|手術室見学事前学習お助け

手術室で挿入されるもの編 実習対策

手術室での実習は特に、実習記録を書くのに困りますよね。
手術室の看護師は忙しそうで、記録を見せてもらうのにも気が引けてしまうこともあるかもしれません。

手術室に来る学生さんの多くは、とても緊張しているなと伝わってきます。
そんな中、声をかけて電子カルテを一生懸命写している姿をみると、頑張っているなと感心します。
しかし、せっかく頑張って書き写したのに、実習記録を確認すると間違った情報が記入されていることもあります。
手術室での実習は、看護学校の教科書ではわからないことが多く、実習記録を書くときに戸惑うこともありますよね。

そこで、これから実習に参加する学生さんに向けて、手術室で挿入される管類について紹介したいと思います!
この情報が実習に役立つことを願っています。

この記事を読めばわかること
・手術室で挿入される管類の名前とその目的
・挿管チューブ
・Aライン
・CV
・膀胱留置カテーテル
・ドレーン
・胃管
・硬膜外カテーテル
・記録の例(シェーマ)
・まとめ

手術室で挿入される管類の名前とその目的

挿管チューブ(気管チューブ)

気管内に挿入して気道を確保するためのチューブです。

・挿入部位
 気管

・挿入長さ(固定の長さ)
成人男性:門歯から23㎝(目安)
成人女性:門歯から21㎝(目安)

挿管チューブ門歯○○㎝固定です!と申し送ったりします。

ポイント
・気管分岐部の2から3㎝上で固定
 全身麻酔の場合、レントゲンで挿管チューブの位置を確認しません。
 挿管後は麻酔科医が呼吸音の聴診を行い確認します。
・深すぎると片肺換気になる。
・浅すぎると抜管されてしまう可能性がある。

・チューブの径
成人男性:8.0mm
成人女性:7.0mm
基本的にこのサイズです。

※チューブの径は術前の胸部レントゲン検査で気管支径をみたり、身長などで変更されることもあります。
※挿管チューブは5mm刻みで太さがあります。

・挿管チューブのカフ
気管チューブの先端についている風船みたいなもの。
シリンジを用いて空気を入れて膨らませます。
膨らませることで気管チューブと気道の隙間を封鎖します。
それにより人工呼吸器が肺に送り込む空気が、チューブと気道の隙間から漏れるのを防ぎます。

・カフ圧 20-30㎝H2O に維持する

カフ圧が高すぎると気管壁を圧迫し、血流障害や壊死・浮腫を引き起こす可能性があります。

Aライン(動脈ルート)

動脈に留置針を留置し、動脈内の圧力をトランスデューサーで検知し、血圧を測定します。
血圧を持続的に見たい患者さんや侵襲の大きい手術等で用いられます。
動脈のルートから動脈血採血が可能です。

・挿入部位
橈骨動脈
足背動脈

通常の点滴は静脈に挿入されますね。
動脈に挿入した場合に、普通の点滴バッグを接続すると血液が逆流してしまいます。
そのため、Aラインの点滴バッグには加圧バッグを使用し、300mmHgに加圧して逆流を防いでいます。
加圧バックの中の点滴はヘパリン入り生理食塩水です!
(ヘパリンを添加しない施設もあるようです)

・挿入する管
基本的に22G留置針
点滴とるときに使用する針と同じものです。


病棟で圧モニタリングや頻回な採血が必要ない場合などはAラインは抜いて帰室します。
動脈を針で穿刺しているため、圧迫止血が必要です。

わたしの施設では枕子(ちんし)で圧迫し、1時間以内に除去してもらうように病棟に依頼しています。

CV(中心静脈カテーテル)

周術期では中心静脈圧の測定カテコラミン投与末梢でのルート確保が困難な場合に挿入されます。

・挿入部位
主に右内経静脈
次いで左内経静脈
内経静脈からカテーテルを挿入し、上大静脈まで留置します。

右の内経静脈は血管の走行が上大静脈まで直線的に下りるため第一選択となります。

・挿入する管
ダブルルーメンカテーテル(カテーテル内腔が2つ)
トリプルルーメンカテーテル(カテーテル内腔が3つ)
プリセップカテーテル(商品名)

・挿入の長さ
右内経静脈から挿入した場合 13~15㎝
左内経静脈から挿入した場合 15~17㎝
身長によって異なります。

膀胱留置カテーテル

尿量の測定尿の性状を観察することで患者の状態を把握する目的で使用されます。
また脊椎麻酔の場合は、麻酔によって尿意を感じにくくなり、水腎症をきたす可能性があるため挿入します。
・管の太さ 
成人の場合は基本的に14Frや16Fr
尿道口が狭くて入りにくい場合は、12Frなど細いものを選択する
・固定水の量
基本的に10ml(蒸留水)
前立腺手術など治療目的で必要な場合は量が多いこともある。
抜去時に必要な情報のため記録に記載が必要です。

ドレーン

・ドレーンの挿入目的
①情報ドレーン:術後出血や縫合不全の発見
②予防的ドレーン:術後の血液・浸出液の排出
③治療的ドレーン:膿瘍や浸出液の排出による感染や炎症の改善

・腹腔ドレーンの挿入位置と手術部位
 右横隔膜下 肝臓切除
 左横隔膜下 胃切除 脾臓切除 膵臓切除
 ウィンスロー孔 肝臓切除
 モリソン窩 右上腹部の手術
 右傍結腸溝 右結腸切除
 左傍結腸溝 左結腸切除
 ダグラス窩 直腸切除 子宮全摘出など婦人科手術

※施設や医師によって表現の方法が異なることがありますので確認しましょう。
※腹腔ドレーンの場合、留置の長さの決まりがありません。
ドレーン自体にマークがついていて抜けがないことを確認するものや、
施設によってはドレーンにマーキングをして管理するところもあるようです。

・胸部のドレーン
 胸腔ドレーン 肺切除 心臓手術
  ・吸引圧○○㎝H2O
  ・エアリークがない
  ・呼吸性変動(移動)の有無

   術後に申し送る内容です。記録の参考にしてください。


 大胸筋下ドレーン 乳房手術
 腋窩ドレーン 乳房手術

・頭部のドレーン
 硬膜外ドレーン 慢性硬膜下血腫
 頭部皮下ドレーン 開頭手術 

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胃管

鼻から胃まで挿入するチューブ。
消化管の減圧や胃内容物の吸引・胃洗浄を目的に挿入される。
消化管手術などで挿入され、手術終了後も留置したまま帰室することがあります。

・挿入の長さ
成人で45~55㎝
左右の鼻腔どちらから挿入したかも記録しておくと良い。

硬膜外カテーテル

硬膜外腔にカテーテルを留置し、持続的に麻酔薬を注入するための管です。
術後の鎮痛目的で留置されます。

・留置する部位
 硬膜外腔

・穿刺部位
 上腹部手術 Th7/8(第7胸椎と第8胸椎の間をこのように記録します)やTh8/9
 下腹部手術 Th8/9~Th10/11

・留置の長さ
 硬膜外腔に4~6㎝留置されます。
 皮膚から○○㎝固定とあわせて記載されることもあります。

・その他病棟への申し送り事項
 薬剤ボトルの内容 
  レボブピバカイン(ポプスカイン)
  ロピバカイン(アナペイン)
  フェンタニル(麻薬)
  デキサメタゾン(デカドロン) 等の薬剤が入ります

 硬膜外麻酔開始時間  ○○時○○分開始
 硬膜外麻酔薬の流量  ○○ml/時間
 挿入時の出血の有無

記録の例(シェーマ)

まとめ

手術室では、以下のようなさまざまな管が挿入されることがあります。
挿管チューブ
Aライン
CVカテーテル
膀胱留置カテーテル
ドレーン
胃管
硬膜外カテーテル
 等
これらはそれぞれ特定の目的で挿入されますが、患者に不利益をもたらす可能性も伴います。
そのため、不利益を最小限に抑えるには、目的や特性についての知識を深め、日々の観察を怠らないことが重要です。

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