第103回 午前49問
術後合併症で術前の喫煙と最も関連が強いのはどれか。
1. 尿 閉
2. 腸閉塞
3. 手術部位感染
4. ダンピング症候群
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正解は・・・3. 手術部位感染
1. 尿 閉
硬膜外麻酔や脊椎麻酔の効果が切れても、尿が出ないことがあります。
その他、膀胱鏡などの内視鏡手術による尿道損傷や開腹手術による神経損傷などで起こることがある。
2. 腸閉塞
腹部の手術による癒着によって起こる合併症。
3. 手術部位感染(SSI)
喫煙は血流障害を起こしやすくなるため手術部位感染を起こしやすくなる。
SSIの原因は「患者」「細菌」「医療者」の3要素があげられます。
患者:年齢・性別・栄養状態・喫煙・肥満・すでにある感染巣・糖尿病・ステロイド使用・血行障害など
細菌:黄色ブドウ球菌・緑膿菌・腸球菌など
医療者:剃刀による剃毛・手術室の環境・手術手技・不適切な抗菌薬の予防投与・ドレーンの留置・手術時間・滅菌不良など
4. ダンピング症候群
胃切除後の合併症
食べた食べ物がすぐに小腸に流入するために起こる
ダンピング症候群症状
・早期(食後30分以内)
冷や汗・下痢・吐き気・嘔吐・腹部膨満・腹痛など
・後期(食後2から3時間後)
頭痛・倦怠感・冷や汗・めまい・手指のふるえ
第102回 午前45問
術前の検査値で創傷治癒の遅延因子となるのはどれか。
1. 血清アルブミン低値
2. 血清総ビリルビン低値
3. 糸球体濾過値<GFR>高値
4. 動脈血酸素分圧<PaO2>高値
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正解は・・・1. 血清アルブミン低値
1. 血清アルブミン低値
低栄養状態は総省治癒が遅延する原因である。
低栄養状態と呼ばれるアルブミン値は、3.5g/dl以下。
2. 血清総ビリルビン低値
黄疸や重症肝障害があるときに行う検査である。
ビリルビン値は、創傷治癒には直接関係ないとされている。
正常値(成人):0.1-1.2㎎/dl
高値:肝炎・肝硬変・胆石などの胆道疾患・溶血性疾患
低値:肝硬変・劇症肝炎・タンパク質不足
3. 糸球体濾過値<GFR>高値
GFRは、腎機能を表す指標
正常値:60ml分/1.73㎡以上
低ければ低いほど腎機能悪い
GFR高値は、腎機能が正常である
腎機能が悪いと、創傷治癒が低下する可能性があります。
4. 動脈血酸素分圧<PaO2>高値
動脈血中の酸素分圧
基準値:80~100Torr
PaO2:60Torr以下は呼吸不全とされる。
低酸素血症は、創傷治癒遅延の原因となる。
第105回 午前72問
Aさん(60歳、男性)は、胃癌の手術目的で入院した。大動脈弁置換術を受けた既往があり、内服していたワルファリンをヘパリンに変更することになった。
確認すべきAさんの検査データはどれか。
1. PT-INR
2. 赤血球数
3. 白血球数
4. 出血時間
5. ヘモグロビン値
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正解は・・・1. PT-INR
ワルファリンとは・・・
ビタミンKが関与する血液凝固因子の産生を抑制し、血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防止する薬
禁忌:ビタミンKを多く含む食品(納豆・クロレラなど)や薬剤と併用
グレープフルーツも薬の代謝を阻害する成分が含まれているので避ける必要があります。
PT-INRのほかに、APTTも確認する必要があります。
・APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)
内因系の血液凝固能力を測定する検査。
基準値は25~40秒
数値が大きいほど血液が固まりにくい状態
1. PT-INR(PT:プロトロンビン時間 INR:国際標準比)
外因系の血液凝固因子の働きを測定する検査項目。
正常値はINR=1.0
数値が大きいほど血液が固まりにくい状態
2. 赤血球数
貧血や多血症などの有無を反映する
正常値
男性:4.27~5.70(×106/μL)
女性:3.76~5.00(×106/μL)
4. 出血時間
止血機能の検査:皮膚に少し傷をつけ、自然に血が止まるまでの時間を計測する検査
血小板や毛細血管の状態や機能を調べる検査
血液凝固因子の検査ではないため、ワーファリンの作用とは関係がない。
5. ヘモグロビン値
鉄欠乏性貧血の指標。
正常値
男性:13.0~16.6g/dL
女性:11.4~14.6g/dL
術前にワーファリンをヘパリンに変更する理由
(ヘパリン置換やヘパリン化といわれる)
抗血栓薬は、手術中の出血リスクを高めます。
かといって、安易に中止すると休薬期間中の血栓塞栓症の発症リスクが高まります。
抗血栓薬ワーファリン中止し、ヘパリンに置き換えて手術当日まで投与し、休薬期間を最小限にする治療法です。
ワーファリンの作用持続時間:48~72時間
よって手術3日前から休薬しなければなりません。
しかし、ヘパリンの作用持続時間は、4~6時間
手術当日まで投与が可能というわけです。
また、プロタミンという拮抗薬もあり、ヘパリンの作用を中和することができます。
ワーファリン内服患者は、手術3日前から入院します。
理由は、ワーファリンを休薬し、点滴からヘパリンの投与が開始するためです。
そして手術当日の朝、ヘパリンの投与を終了します。
手術終了後、止血が問題なければヘパリンが再開されます。
ヘパリンは注射薬であり、作用発現時間が投与直後からです。
よってヘパリンを使用することで、抗凝固薬の休薬期間を最小限にすることができます。
第107回 午前41問
全身麻酔下で食道再建術を受ける患者への術前オリエンテーションで適切なのはどれか。
1. 「口から息を吸って鼻から吐く練習をしてください」
2. 「手術の直前に下剤を飲んでもらいます」
3. 「手術中はコンタクトレンズをつけたままで良いです」
4. 「麻酔の際は喉に呼吸用の管を入れます」
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正解は・・・4. 「麻酔の際は喉に呼吸用の管を入れます」
1. 「口から息を吸って鼻から吐く練習をしてください」
逆ですね。
鼻から吸って口から早く息を吐き出す、ハフィングを練習してもらいます。
挿管による気道の刺激や創部痛で術後患者は、呼吸が浅くなります。
呼吸が浅いと気道内分泌物が貯留しやすいです。
これを除去する目的で、ハフィングを行います。
2. 「手術の直前に下剤を飲んでもらいます」
大量の下痢や血管内脱水・血圧低下の原因や朝刊浮腫の原因となる可能性があります。
消化器系の手術では、手術の前日に緩下剤を内服することがあります。
3. 「手術中はコンタクトレンズをつけたままで良いです」
つけてきたら手術室看護師に怒られますよ!!
手術中は瞬きできません。
眼の乾燥を防ぐためにテープで目を閉じます。
コンタクトレンズは角膜損傷の恐れがあるため、必ず外してきてもらいます。
基本的に手術室には、体から取り外せるもの(義歯・ヘアピン・かつら・湿布など)は、外してきてもらいます。
4. 「麻酔の際は喉に呼吸用の管を入れます」
全身麻酔では、人工呼吸器管理となります。
人工呼吸器に接続するために、気管内チューブを留置します。
第111回 午前83問
タイムアウトによって予防できるのはどれか。
1. 患者の誤認
2. 抗癌薬の曝露
3. 個人情報の漏洩
4. ベッドからの転落
5. 血液を媒介とする感染
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正解は・・・1. 患者の誤認
タイムアウトとは・・・
執刀前に手を止めて
執刀医が
・患者(氏名)
・手術部位(左右なども)
・術式
・術中起こりうること(出血量や想定されるトラブルなど)
を声に出して確認すること。
麻酔科医と看護師はそれが正しいことを確認します。
患者の誤認、部位の誤認、術式の誤認がないかを最終確認し、手術が開始されます。
他の過去問にもチャレンジ!!
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