5分でわかる!【全身麻酔の基本⑦】経口挿管介助の方法と準備物品

5分でわかるシリーズ!

手術室の看護師に必要なスキルとして、「挿管の介助」があります。

本記事では、挿管介助の手順や注意点を5分で解説します!

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全身麻酔時の気管挿管の準備

必要物品と準備方法

挿管介助で必要な物品と準備方法です。
※施設によって多少異なる場合があります。

物品準備のポイント
気管チューブ・適切なサイズを準備
・術式や体位にあったチューブを準備
・カフの確認(一度膨らませて破損がないかチェック後戻す)
・チューブ先端に潤滑剤を塗布
スタイレット・チューブ内に挿入し、適切なカーブを形成
・チューブの先端1-2㎝上で止める。
※スタイレットが先端から出ないようにする
喉頭鏡
(マックグラス
・ブレードのサイズを患者に応じて選択
※基本#3、男性や体格の大きな人は#4
・ライトの点灯を確認
酸素マスク・導入時のマスク換気に使用
シリンジ(10ml)・カフ膨張用
吸引カテーテル・挿管時、分泌物の吸引を行う。
吸引器・吸引圧確認。
・すぐ使える位置に配置
チューブ固定テープ
固定器具
・チューブ挿入後すぐに使えるようカット&準備済みにする
聴診器・挿管後の5点聴診に使用
バイトブロック・必要時
・挿管チューブを噛むのを防止する。
エアウェイ
(経口・経鼻)
・経口エアウェイ
(筋弛緩による舌根沈下や上気道閉塞でマスク換気が不能な時に使用。)
(覚醒している人には使用しない。)
・経鼻エアウェイ
(経口エアウェイ挿入困難な人や抜管後半覚醒状態の人に使用)

挿管介助の手順と注意点

ステップ麻酔科医師の動き手術室看護師の動き
① 酸素投与
(予備酸素化)
酸素マスクで高流量酸素を投与
・酸素マスク装着の補助
・酸素流量確認
・SpO₂モニタリング
② 麻酔導入鎮痛薬、静脈麻酔薬の投与
自発呼吸が消失するのを確認
・モニター観察(SpO₂・心拍・血圧)
・患者に眠ること、抑制帯装着を説明・実施
マスク換気名前を呼び、意識状態を確認。
睫毛(しょうもう)反射の消失を確認。
下顎挙上し、マスク換気開始。
・換気状態を観察(胸郭・カプノ波形・SpO₂)
・枕の高さ調整などのサポート

※マスク換気が困難な場合・・・
経口エアウェイや声門上器具の挿入
直ちに挿管など麻酔科の指示に従って介助を行う。
マスク換気困難時経口エアウェイや声門上器具の挿入
または直ちに挿管
・麻酔科医の指示に従い迅速に介助
筋弛緩薬投与
喉頭展開
筋弛緩薬を投与し、60-90秒後
スニッフィングポジションを取り、
喉頭鏡で声門確認
・喉頭鏡の点灯確認→麻酔科医の左手へ手渡し。
※喉頭鏡の渡す向き注意!
・声門が見えない場合は、BURP法を行う。
気管チューブ
 挿入
声門を通過するまで挿管チューブを挿入・挿管チューブは麻酔科医の右手へ手渡す。
※チューブを渡す向き注意!
・口唇を広げるなどの視野確保を補助する。
(必要時)
スタイレット
 抜去
声門通過確認後、抜去を指示
適切な位置まで、チューブを挿入する。
・チューブを保持し、スタイレットを抜去。
※チューブが一緒に抜けないように注意。
カフへの空気注入適切な位置でチューブを把持し、
カフの注入を指示する。
・シリンジで4-6cc空気注入
・リーク音を確認しながら調整
⑧ 回路の接続
 位置確認
回路接続後、チューブの位置確認
・チューブの
・聴診
・胸郭左右差
・カプノ波形
・5点聴診の介助
・エア漏れが音があれば、カフを追加
⑨ 固定チューブ位置確認後、チューブ固定・必要時、チューブ固定の介助を行う。

食道挿管の確認方法

確認方法食道挿管時の兆候
リーク音カフを入れてもリーク音が持続する
チューブのくもり呼気が返ってこないため、チューブがくもらない
心窩部の聴診胃音(ブォー音)が聞こえる
両肺の聴診呼吸音なし
カプノ波形波形が出ない/すぐに消失
胸郭の動き動かない
SpO₂の変化時間経過とともに低下

BURP法(バープ法)のやり方とは

BURP法とは

喉頭展開後、声門が見えにくい場合・・・
甲状軟骨を後方(Backward)・上方(Upward)・右方(Rightward)に圧迫する」
ことで視界を改善する方法

麻酔科の先生が、自分で押して、
「ここ押しといて!」と指示がある場合はその通りに押しましょう!

気管挿管後の5点聴診の部位と順番

聴診順番聴診部位聴取内容意義・確認したいこと
心窩部胃内にエアが入る「ブォー」という音がないか誤って食道に挿入されていないか確認
右前胸部呼吸音の有無・左右差両肺にしっかり換気されているか確認
胸郭の動きにも注目する
左前胸部呼吸音の有無・左右差同上
左側胸部呼吸音の有無・左右差片肺挿管の有無を確認
右側胸部呼吸音の有無・左右差同上
心窩部
(再度)
胃音の有無食道挿管ではないことを最終確認
  • 食道挿管されている場合、心窩部に呼吸音様の音が聞こえる可能性があります。
  • 片肺挿管の場合は、左右どちらかの呼吸音が聴取されない/弱いという現象がみられます。
  • カプノメーターの波形やSpO₂も併せて確認しましょう。

まとめ

挿管前の準備、介助中の流れ、挿管後の観察までを正しく理解し、的確に対応することが患者の安全につながります。

  • 物品準備は「使用順に取りやすい位置」に配置する
  • 挿管後はリーク音・EtCO₂・5点聴診で換気確認
  • 合併症や挿管困難のリスクも念頭に、冷静かつ柔軟に対応する

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