意識レベルの評価は、患者の状態を迅速かつ正確に把握するための大切なスキルです。
適切な評価ができれば、病状の進行を予測し、必要な医療処置をタイミングよく行うことができます。
しかし、JCSやGCSを使う機会が少ない看護学生にとっては、覚えるのが大変…。
しかも国家試験では頻出のテーマです。
この記事では、「JCS」と「GCS」の違いや評価のポイントを、わかりやすく解説します。実際の練習問題も用意しているので、実習や試験対策にも役立ててくださいね!
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意識レベルを評価する目的とは?
意識レベルの評価には、次のような大事な意味があります。
患者の状態を把握するため
意識の変化は、脳や神経のトラブルのサインかもしれません。
早く気づくことで、重症化を防ぐことができます。
病状の重症度を知るため
意識障害は、脳卒中・外傷・感染症・薬物・低血糖など、さまざまな原因と関係します。
重症度を見極める手がかりになります。
治療の効果をみるため
評価を繰り返すことで、治療が効いているか、悪化していないかをチェックできます。
生命の危機を早期に発見するため
意識の急な変化は、緊急対応が必要な危険サイン。
評価は命を守る判断材料になります。
看護・医療介入の計画に必要
意識レベルによって対応が大きく変わります。
声かけだけで済む人と、すぐに処置が必要な人では全く違いますよね。

JCSとGCSのComaは、「昏睡」っていう意味だよ!
意識レベル評価の代表スケール:JCSとGCS
JCS(Japan Coma Scale)とは?
日本で広く使われている意識レベルの評価法で、「0〜300」の数字で表します。
- 0:正常
- 数字が大きくなるほど意識障害が重い
3段階×3分類の「3-3-9度方式」で構成されています。
【特徴】
GCS(Glasgow Coma Scale)とは?
世界中で使われている意識評価スケールです。
3つの要素で構成されています:
項目 | 内容 | 点数 |
---|---|---|
E(Eye) | 開眼反応 | 1〜4点 |
V(Verbal) | 言語反応 | 1〜5点 |
M(Motor) | 運動反応 | 1〜6点 |
→ 合計 3〜15点
→ 15点が正常、3点が最重症

発語できない(挿管中など)場合は「V」を「T」と表記します。
【特徴】
JCSは数字が大きいほど重症
GCSは数字が小さいほど重症
JCSとGCSの違い・使い分けまとめ
項目 | JCS | GCS |
---|---|---|
評価方法 | 覚醒度・反応性 | 開眼・言語・運動 |
点数の範囲 | 0〜300 | 3〜15 |
正常値 | 0 | E4V5M6(15点) |
重症 | 300 | E1V1M1(3点) |
使用場面 | 日本国内、急性期、救急対応 | 頭部外傷、慢性期、詳細な評価 |
特徴 | 簡便で迅速 | 精密で国際標準 |
使い分けの目安
評価の流れと観察ポイント


意識レベルの実際の評価方法




意識は時間とともに変化するので、こまめな評価が大切です。
実際に意識レベルを評価してみよう!(練習問題)
①JCSで評価してください。
看護師:「○○さーん(大声)」肩をたたく。
患者:反応がありません。
看護師:少し爪を押しますね。
患者:目を開けないが、手を払いのける動作をした。
解答
JCS:Ⅲ- 100
②JCSで評価してください。
看護師:「○○さーん、お名前教えてください」
患者:「はい・・・○○・・・」
看護師:「ここ、どこだかわかりますか?」
患者:「・・・い・・え?」
解答
JCS:Ⅰ-2
③GCSで評価してください。
看護師:「○○さん、ここどこだか分かりますか。」
患者:目を開けながら「病院です。」
看護師:「手を握れますか?」
患者:「握れます。」ぎゅっと握る
解答
GCS:E4V5M6
まとめ
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