術中モニタリングの目的は?
手術中、患者さんは麻酔の影響で意識がなく、自分で不調を訴えることができません。
たとえ意識下の手術でも、痛みや不快感をうまく伝えられないことがあります。
だからこそ、「モニターは患者さんの声を代弁する存在」なのです。
術中モニタリングの役割は大きく以下の3つ:
今回は、その中でもとくに基本かつ重要な6つのモニター項目をわかりやすく解説します!
📈 SpO2(パルスオキシメーター)
何を見る?
血液中の酸素飽和度(=SpO₂)。正常値は**96〜100%**程度です。
⚠️ 異常値で何が起こる?
SpO₂が90%を切ると要注意!
酸素不足により臓器障害や意識障害につながる恐れがあります。
🔢 EtCO₂(呼気終末二酸化炭素)
✔️ 何を見る?
呼気の最後に排出されるCO₂濃度。正常値は35〜45mmHgです。
⚠️ 異常値で何が起こる?
麻酔中の換気状況や循環動態を評価するうえで、とても大切!
❤️ ECG(心電図)
✔️ 何を見る?
心臓の電気的活動をリアルタイムで観察(P波・QRS波・T波など)。
⚠️ 異常波形で何が起こる?
- 心室細動(Vf)や心室頻拍(VT)などは即時対応が必要な致死的不整脈
- P波が見えない・QRSが広いなども見逃し厳禁!
血圧(SBP/DBP/MAP)
✔️ 何を見る?
収縮期(SBP)・拡張期(DBP)・平均血圧(MAP)
⚠️ 血圧異常で何が起こる?
- 低血圧:出血・循環不全・麻酔過量の可能性
- 高血圧:疼痛、術中覚醒
とくにMAP<60mmHgが続くと、重要臓器への血流が不足するため注意。
🛀 CVP(中心静脈圧)
✔️ 何を見る?
右心房への還流圧=体液量の指標
中心静脈カテーテルで測定します。
⚠️ CVPが高い/低いと?
- 高い:心不全・輸液過多・肺塞栓
- 低い:脱水・出血・静脈還流障害
🌡 術中の体温モニタリング
✔️ なぜ体温が大事?
- 低体温 → 感染・凝固異常・麻酔覚醒遅延
- 高体温 → 悪性高熱症・感染などの兆候
持続的な体温測定で、重大な合併症の予防につながります。
✔️ どこで測る?
代表的な測定部位と特徴:
測定部位 | 正常値目安 | 特徴 |
---|---|---|
食道温 | 36.0〜37.5℃ | 信頼性高く反応も早い(30〜40cm挿入) |
鼻咽頭温 | 36.0〜37.5℃ | 非侵襲・簡便だが乾燥に注意 |
直腸温 | 36.5〜37.5℃ | 安定しているが反応がやや遅い |
膀胱温 | 36.0〜37.5℃ | カテーテル併用で簡単、尿量少だと誤差あり |
✅ まとめ:モニターは“患者の声”を見逃さない力
術中モニターは、患者さんが発信できない異常のサインを捉える大切な手段。
パラメータの“変化”を見抜く力が、アセスメント力の差になります。
機械任せにせず、モニター×観察×経験で
「その人の今」をしっかりと読み取れる看護を目指しましょう!

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