小児麻酔では、緩徐導入が選ばれることが多いのはなんででしょう?
緩徐導入(スローインダクション)の
・ 適応
・ 手順
・ 看護のポイント
について5分で解説します!
※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。
緩徐導入(スローインダクション)とは
緩徐導入とは、吸入麻酔薬をマスクから吸入させ、徐々に麻酔薬の濃度を上げて、意識がある状態のまま、ゆっくりと麻酔を深めていくスタイルです。
入眠後に点滴ルートを確保し、そこから鎮痛薬や筋弛緩薬を投与し、挿管する麻酔方法です。
小児に緩徐導入が選ばれる理由
小児に静脈確保を行うのは、恐怖心や抵抗が強く、難易度が高い場面が多いため、吸入麻酔で眠らせてから静脈確保をする方がスムーズなことが多くあります。
緩徐導入のメリット・デメリット
メリット
- 恐怖心を軽減できる
- 保護者がそばにいる状況で導入できる
- 吸入麻酔薬で血管が拡張し、点滴ルートを確保しやすい
デメリット
- 吸入麻酔薬が臭い
- 点滴ルートがないため、入眠中のトラブルに対処が困難
小児以外の適応
- 静脈確保が困難な患者
(例:脱水や軽度肥満など) - 静脈路を確保する際の痛みや恐怖が強い場合
- 精神発達の遅れがあり、静脈確保への協力が難しい場合
緩徐導入の禁忌
- フルストマックの患者
マスク換気により、嘔吐する可能性があるため
緩徐導入(スローインダクション)の手順と注意点
ステップ | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
① 準備 | 麻酔器 マスク セボフルラン 酸素 必要に応じて笑気 | 機器の作動確認を忘れずに |
② マスク装着 プレ酸素化 | 100%酸素で3〜5分換気 | マスクの密閉性を確認 SpO₂を観察 |
③ 吸入麻酔薬開始 | セボフルラン1%から開始 0.5〜1%ずつ増量 | 意識・バイタルを継続的に評価 |
④ 興奮期 | 体動や頻脈がみられる | 転落・喉頭痙攣のリスクに注意 |
⑤ 筋硬直・意識消失 | 上気道閉塞がみられる 体動が収まり、脈拍も落ち着く | 下顎挙上で気道確保。 意識反応もチェック。 |
⑥ 静脈路確保 | 意識消失後に確保 | 安全・確実なルート確保 薬剤の投与(筋弛緩薬等) |
⑦ 気道確保 | 挿管またはラリンジアルマスク | |
⑧ 維持麻酔へ移行 | 濃度調整し手術体制へ | バイタル管理を継続 |
喉頭痙攣とは・・・
喉頭痙攣とは、声門が閉鎖して換気が困難になる合併症。
(全身麻酔症例は、全例注意が必要)
- 特に小児では起こりやすい。
- 浅い麻酔状態の時の、身体への刺激などで誘発。

麻酔が深くなるまで、不用意に体に触れたりすると、
麻酔科医が激怒するかも!?笑
対処法は・・・
- 100%酸素投与でマスクを顔に押し当て、バッグを推して加圧!
声門を押し広げるイメージ - ルートがないから、筋弛緩薬を筋肉注射
麻酔が深くなれば、喉頭痙攣は解除される。
興奮期とは・・・
緩徐導入では、麻酔のゆっくり深めていくため、興奮期があります。
特徴
- 興奮状態
- 筋肉の緊張による体動
- 不規則な呼吸
- 意識は消失

親の同伴がある場合は、
★薬の作用で興奮期があること
★身体を抑えること
を先に伝えておきましょう!!
まとめ
- バイタルや患者の状態を観察し、麻酔の深度を見極めて介助を行う。
- 麻酔科医の指示により、マスク換気やルート確保をお願いされることがある。
おまけ|セボフルランとデスフルランの特徴
比較項目 | セボフルラン | デスフルラン(スープレン) |
---|---|---|
導入のしやすさ | ◎ においが少なく、導入に適する | × 刺激臭が強く、導入には不向き |
効果の発現 覚醒の速さ | ○ 比較的早い | ◎ 極めて速い |
呼吸器刺激性 | 少ない (導入に適している) | 強い (咳や喉頭痙攣を誘発しやすい) |
小児麻酔での使用 | ◎ 非常に多く使われる | △ 刺激性が強いため導入には不向き |
心血管への影響 | 安定しており、徐脈も起こしにくい | やや頻脈傾向 |
環境への影響 | 中程度 | 非常に高い |
リンク
コメント