5分でわかる!【全身麻酔の基本④】挿管チューブのサイズ・固定の深さ

手術看護

手術室で働くなら絶対知っておきたい挿管チューブについて、5分で解説します!

※この記事にはアフィリエイトリンクが含まれます。

挿管チューブのサイズと固定の深さ

成人の挿管チューブサイズと固定の深さ(経口挿管)

チューブサイズや固定位置は患者の体格などによって調整が必要。

性別推奨サイズ(内径 mm)固定の深さの目安
男性7.5〜8.522〜23㎝(門歯)
女性7.0〜7.520〜21㎝(門歯)

挿管チューブの適切な位置はどこ?

挿管チューブの先端は気管分岐部から3~5㎝上方

  • 深すぎると片肺換気になるリスク
  • 浅すぎると抜ける
  • 声門に位置すると、声帯損傷や反回神経麻痺の発生

片肺換気が起こる理由

チューブを深く挿入すると・・・・
右主気管支に入り込んでしまうことで、右肺のみ換気される状態に!

右の気管支は、
「ほぼ垂直(急)」「太くて短い」
だからチューブが入りやすい!

適切に挿管されたか確認する方法

カプノメーターをチェック

呼気中のCO₂波形が確認できれば気管内挿管の証拠になります。

波形が出なければ食道挿管の可能性大!

チューブのくもりをチェック

チューブ内の呼気によるくもりが見えれば、換気ができている可能性が高い!

5点聴診法

5点聴診(心窩部、両上肺野、両側胸部)を行って、胃音がないか、呼吸音に左右差がないかを確認します。

胸郭運動をチェック

換気をしたときに、胸郭の動きに左右差がないかも確認します!

術後はレントゲンによる確認も!

術後も挿管のまま帰室する場合、胸部レントゲンを撮影し、挿管チューブの位置を確認します。

挿管チューブの先端が気管分岐部から3~5㎝上方にあるか確認!

食道挿管が起こったらどうする?

以下の場合は食道挿管!

  • 呼気CO₂が出ない
  • 胃音が聴こえる
  • 胸郭の動きがない
  • カフのリーク音  など

即座に抜去し、再度気道確保が必要。

食道挿管が起こったときの対応

  1. 即座にカフを抜き、挿管チューブを抜去する。
  2. マスク換気を行って、酸素化。
    ※速やかにマスク換気ができるように、介助する。
    挿管チューブのカフを確認したり、洗浄または交換する。
  3. 再度気管挿管を試みる

カフの空気は何cc?カフ圧は?

  • カフに注入する空気の量は5~10mLが目安。
  • カフ圧は20~30cmH₂Oに保つのが適正です。
    ※高すぎると気管粘膜を圧迫、低すぎるとリークの原因

まとめ

項目ポイント
チューブサイズ男性7.5〜8.5mm、女性7.0〜7.5mm
固定の深さ男性22〜23cm、女性20〜21cm(門歯)
適切な挿管位置気管分岐部から3〜5cm上方
確認方法カプノメーター、くもり、5点聴診、レントゲン
カフ管理空気量5〜10mL、カフ圧20〜30cmH₂O

おまけ|ラリンゲルマスクと挿管の違い

両方とも気道確保の方法!
以下に違いをまとめました!!

項目ラリンゲルマスク気管挿管
循環への影響挿入時の循環変動が少ない挿入時の循環変動が大きい
自発呼吸残すことが可能(筋弛緩薬不要)多くの場合、自発呼吸を止める(筋弛緩薬使用)
食道誤嚥のリスク分離が不完全でリスクあり分離が確実でリスク低い
換気の確実性シールが不十分な場合に漏れが起きる密閉性が高く、陽圧換気に有利
患者体位の制限仰臥位のみ(伏臥位は困難)どの体位にも対応可能
気道確保の安定性位置ずれによる換気不能の可能性あり安定性が高い
合併症のリスク少なめ喉の痛み、歯や口唇の損傷の可能性あり
適応短時間手術・自発呼吸温存に有利長時間手術・体位変換がある場合に有利

コメント

タイトルとURLをコピーしました